科学防護服 PERSONAL PROTECTION

化学物質・化学薬品対策

化学物質の浸透・透過

化学物質のばく露は事故発生時だけに起こるわけではありません。日頃から適切な防護対策を実施しないでいると、「浸透」や「透過」という現象によって、作業者の健康を知らず知らずのうちに蝕んでいる場合があります。

〔浸透〕
縫い目やファスナーといった、作業服素材の小さな隙間から液体の化学物質が非分子レベルで通過してしまうことをいいます。かっぱを着ているのに、雨が中に染み込んでくるのと同じ現象です。衣服の内側に染み出した化学物質が皮膚に触れることで、火傷や呼吸器障害など、さまざまな健康被害を引き起こす危険があります。
〔透過〕
化学物質が分子レベルの状態で通過してしまう現象をいいます。目で確認することができないため、作業者が気づかないうちに化学物質にばく露してしまいます。
通過した化学物質は、皮膚に接触し、皮膚から体内の細胞へと吸収(経皮吸収)され、浸透同様、さまざまな健康被害を引き起こします。

透過のメカニズム

透過のメカニズム

浸透・透過を起こす主な化学物質
化学物質名 用途例 経皮吸収
トルエン 合成原料(TDI、クレゾール、ベンゼン、キシレン、フェノール等)、溶剤(塗料、接着剤)、ガソリン用添加剤
キシレン 合成原料(テレフタル酸、可塑剤等)、溶剤等、ガソリン用添加剤
ベンゼン 合成原料(スチレンモノマー、シクロヘキサン、フェノール、クメン等)、その他
スチレン ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、合成ゴム(SBR)、不飽和ポリエステル樹脂、その他 可能性有
二塩化エチレン 合成原料(塩ビモノマー、エチレンジアミン、合成樹脂)等 可能性有
フッ酸 鋼・ステンレスの酸洗、軽合金のメッキ、ガラスの表面処理等、フッ素系化合成品の原料、半導体製造等
塩酸 合成原料(塩ビ、各種工業薬品)、メッキ処理、還元剤 可能性有
硫酸 合成原料(肥料、繊維、医薬品、各種硫酸塩等)、石油・油脂の精製および洗浄、表面処理 可能性有
苛性ソーダ 原材料(紙・パルプ、アルミナ、化学繊維等)、金属の溶解、精製、不純物の除去、漂白、中和、軟化等 可能性有
塩素ガス 合成原料(塩ビ、塩素系溶剤、次亜塩素酸ソーダ他) 可能性有

化学物質ばく露による重大事故

化学物質のばく露を未然に防ぐために、工場やプラント等の設備の安全性は年々高まっています。しかし、日常業務のちょっとした気のゆるみや化学物質に対する理解不足によって、化学物質のばく露事故が発生しています。

<ケース1>硫酸噴出による火傷事故

【業種】
非鉄金属精錬・圧延業
【事故被害】
1名休業
【事故経緯】
非鉄金属精錬工場において亜硫酸ガスから硫酸を製造する設備の定期修理中に発生。運転再開に向けての最終点検として硫酸を送給し、連結する配管・バルブの漏洩試験を行ったところ、貯酸タンクと循環酸タンクの間のチューブが破裂して硫酸が噴出。作業員は体の後方から硫酸を浴びた。
【事故原因】
配管・バルブの漏洩試験に硫酸を使用したほか、事前の打ち合わせや作業手順の確認などが十分に行われておらず、作業者を守る防護服なども着用されていなかった。

<ケース1>硫酸噴出による火傷事故

<ケース2>水酸化ナトリウムによる化学薬傷

【業種】
清掃・と畜業
【事故被害】
3名休業
【事故経緯】
塗装工場において廃塗料沈殿槽の清掃中に発生。廃塗料沈殿物と水酸化ナトリウム及び廃油をスコップでバケツに入れる作業を行っていた。作業1時間後、3人の作業員が、顔、手、足などに痛みを訴え、作業終了後に診察を受けたところ、皮膚が黒っぽく変色しており、水酸化ナトリウムによる薬傷と診断された。
【事故原因】
防護服などの適切な保護具を使用していなかった。また作業者及び現場責任者が、槽内の物質の有害性について認識していなかった。

<ケース2>水酸化ナトリウムによる化学薬傷

<ケース3>モノクロロ酢酸液との接触による死亡事故

【業種】
無機・有機化学工業製品製造業
【事故被害】
1名死亡
【事故経緯】
モノクロロ酢酸ナトリウム製造工場において、バルブの開閉手順の誤りから、原料であるモノクロロ酢酸液が漏出。原料液が床一面に溜まり、その上で作業員が足を滑らせ、右半身を原料液で濡らしてしまう。その後、風呂場にて体を洗浄し、病院にて治療も行うが、約6時間後に多臓器不全により死亡した。
【事故原因】
適切な防護服を着用していなかったことをはじめ、ばく露したときの応急処置に関する知識もなく、また液が大量に流出した際の処置要領も定められていなかった。

<ケース3>モノクロロ酢酸液との接触による死亡事故

作業服から防護服へ

化学物質を扱う現場の多くでは、ユニフォームとして一般的な作業服が使用されているケースがほとんどです。しかし、作業服は危険な化学物質をブロックする機能はありません。「浸透」や「透過」による化学物質へのばく露や、万が一の事故から作業者を守るために、専用の防護服を導入する企業や工場が増えています。

作業服で化学物質を扱う危険

化学物質を扱う現場でよく使用される作業服が、塩化ビニール製のかっぱです。かっぱは安価で防水機能も備えてはいますが、化学物質の浸透・透過には対応できません。

<検知管での透過実験>
試験薬剤にアセトンを使用し、化学物質に対するバリア性能について、塩化ビニール製のかっぱと防護服タイケム®Fを比較しました。

<検知管での透過実験>

アセトンを入れたビンと空のビンを2セット用意し、それぞれかっぱとタイケム®Fの素材で間仕切りをしてビンをつなげる。

<検知管での透過実験>

化学物質に反応して黄色から緑色に変化する検知管を空ビン側につなぎ、ビン内部の空気を抜く。

<検知管での透過実験>

タイケム®F側の検知管に変化はないが、かっぱ側の検知管が変色しているのがわかる。

作業者の安全は企業の社会責任

化学物質を扱う企業や事業所は、平成18年に改正された労働安全衛生法において、設備や原材料、作業行動に関するリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいた必要措置を実施するよう求められています。
化学設備の清掃・修理などを外部に依頼する場合も、その設備で取り扱うものの危険性・有害性や、安全・衛生を確保するための措置、事故発生時に講ずるべき措置などを、依頼先に文書等で交付することが義務付けられています。

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